水を制する者は印刷を制する
唯の水、されど重要な水
今回はオフセット印刷で使う「湿し水」の話しです。
オフセット印刷は水とインキで印刷します。
刷版はアルミがベースのPS、またはポリエチレン主成分のシルバーマスターなどです。
当然PSの方が高品質です。
インキはメーカーから仕入れますのでそんなに差違はありませんが、
湿し水と呼ばれる水は、ほぼ水道水になります。
その水道水に添加物(界面活性剤、安定剤、pH調整剤)などを混ぜて使用します。
ここ、30年くらいは経験値に基づいて湿し水を作っていました。
最近、印刷機の稼働率が下がってきまして、仕事が少なくなったと同時にデジタル印刷機(所謂プリンターという印刷機)になりつつあります。
印刷オペレーターも高齢化が進み現場から離れていきます。
そんな中で当社も専門オペレーターが退社後、私が引き継いで印刷機を回しています。
まぁ、昔取った杵柄・・・・ってヤツです。
引き継ぎで何も考えずに機械を回していました。まぁ、こんなものだろう・・・って感じで
どうせ、暇だし、少し印刷機の事を勉強してみようかと思い、それなら「湿し水」のことを調べ始めました
当社の印刷機の湿し水は「昔ながらの給水方式、3〜5リットルのタンクから水舟に落とす方式です。~
自動給水なら、温度やpH管理などをやってくれます。
まず、自社の印刷機の湿し水のpHを計ってみました。
シルバーマスター用の湿し水はpH7以上でした。ビックリしました。
印刷汚れが出る筈です
適正値は5〜6です。中間値5.5
添加剤を再検討しましたSLM-OA2(pH8〜9)をOA1(pH3.5〜4.5)に変更、更にSLM-ODNを追加で添加。
しかしpHは6.5位でなかなか下がらず、このためOD50(pH3.5〜4.5)を添加することにした。
水3000ccにOD50を15cc(キャップ半分+)、約0.5%で見事にpHが5.3まで落ちました。
この湿し水でテストをか兼ねチラシを印刷、5000枚通し、インキはFG52の草色です。
この草色(グリーン)は濃度均一に印刷するのがちょっと難しい。しかし簡単にインキの調整が完了し濃度が上がったのにはおどろいた。
今までは、インキの濃度を上げると汚れが出る→水量を上げる→印刷インキが水負けし印刷濃度が下がる
今回は適正なpHにすることで水量は絞れる→印刷濃度が上がる
なぜ、もっと早くそうしなかったか・・・悔やまれます。
今回テストしたもの(途中ですが)
- 水(昭和水源)pH7.6
- SLM-ODN
- SLM-OD
- SLM-OD50
- SLM-OA1
- SLM-OA2
- 富士-EU3
- 日研pH添加剤
もっと良い組み合わせが在るかもしれませんので時間の許す限り試してみようかとおもっています。
水の管理の話しでした。
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